もう一歩前へ

会長

七尾市医師会会長 北村 勝

街を散策すると、建て替えられた多くの住宅や補修が完了した道路を目にします。
甚大な被害をもたらした能登半島地震から2年半の時の流れを実感します。今年の青柏祭は沢山の人々が参加し活気が戻ったように思います。
その一方、地震で住居を失った方々は今も仮設住宅での生活を余儀なくされています。不自由な環境で暮らしておられる皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

さて、七尾市・中能登町の医療・介護・福祉は行政、医療機関など、多くの関係者の尽力によって少しずつ再建が進んでいますが、医療供給体制の課題は依然として大きいと感じます。「震災前に戻す」のではなく、「震災を乗り越えて持続可能な地域医療を作る。」という視点が大切です。能登半島地震後の災害関連死は今も続いており、完全復興には道半ばという状況です。
そのためにも医療人材、特に看護師確保と定着支援の強化が重要です。能登の人口は震災前より15%以上減少しました。医療スタッフも同様で、高齢化が進む能登地区において、看護師の確保は地域医療の持続になくてはならない最重要課題です。
本会が運営する七尾看護専門学校は昭和38年に開校し、現在までに2,200名以上を輩出しました。毎年、約7割の卒業生が能登地区の医療機関等で活躍しています。

しかし、少子化や震災の影響で看護師の希望者が減少し、近い将来、閉校も検討せざるを得ない状況です。もし閉校となった場合、毎年20名以上の看護師供給が途絶え、医療現場の看護師不足は一気に深刻化します。病院機能の低下や、在宅医療・地域包括ケアの維持が困難となります。これは単なる教育機関だけの問題ではなく、地域医療の崩壊につながる構造的危機です。震災からの復興どころか、地域における医療基盤が根こそぎ失われる可能性があります。
本会ではこのような事態を避けるため、七尾看護専門学校を存続させたいと願っております。石川県、七尾市、石川県医師会にもご協力いただき、「能登で学び、能登で働き、能登を支える看護師を育てる仕組み」を守り抜く覚悟です。震災を経験した地域だからこそ、人材を育てる価値は何よりも重く受け止めています。ご一読の皆さまにおかれましてはこの危機を共有していただき、力強いご支援を賜りますようお願い申し上げます。
今年の青柏祭の曳山行事は、例年以上に盛り上がっているように感じました。多くの人々に笑顔が見られ、熱気が町全体を包んでいるようです。ミニでか山車を一歩も二歩も前にと牽引する子供たちに力強さを感じます。「看護師を育て、能登の医療をもう一歩前へ」と歩みを進めていきたいと思っています。どうか力を貸してください。